端末決済を選ぶときは、費用や機能だけでなく、自分のお店に合っているかどうかが大切です。この記事では、初めて導入する方にもわかりやすく、端末の特徴や違い、選び方のポイントをまとめています。
端末決済ってどんな仕組み?

キャッシュレスが日常に溶け込んだ今、多くの店舗で導入されているのが「端末決済」です。クレジットカードや電子マネー、QRコードなど、現金以外の方法で代金を受け取れる小型の機器を通じて、簡単かつスムーズに支払いが完了する仕組みです。これによりレジの混雑が減るだけでなく、現金管理の手間も大幅に軽減され、会計業務の効率化に役立ちます。
お店やイベントで使われる理由
端末決済が急速に広まった背景には、「スピード」と「安心感」があります。たとえば、週末のマルシェで出店している小さなパン屋さん。現金だけの対応では、お釣りの準備や受け渡しに手間がかかり、行列が長くなってしまいます。しかし、端末決済を使えば、ワンタッチで支払いが終わり、次のお客さまへすぐ対応できます。
さらに、現金を扱う頻度が減ることで、盗難リスクやレジの誤差といった問題も最小限に抑えられます。感染症対策としても、非接触で支払いが完了する点は大きな安心材料となっています。
スマホ・タブレットとどう違うの?
「スマホがあれば決済できるのでは?」と感じる方もいるかもしれません。実際、スマホやタブレットにアプリを入れてQRコード決済に対応することも可能です。ただし、それらはあくまで補助的な仕組みであり、端末決済には専用機器としての強みがあります。
たとえば、SquareのターミナルやAirペイの専用端末のように、カードの読み取り・レシート印刷・通信機能が一体化しているものは、操作が直感的で、初心者でもすぐに扱えます。また、POSレジとの連携や売上管理機能が充実しているものも多く、業務全体の見える化を後押ししてくれます。
導入する際は、「どんな決済方法に対応しているか」だけでなく、「現場での使いやすさ」や「日々の業務との親和性」も見極めることが大切です。

端末決済は、お客さまとのやりとりをスムーズにする大切な“接客ツール”です。選ぶときは、機能だけでなく「使う場面」まで考えてみるのがおすすめです。
決済端末のタイプ別特徴


決済端末は、導入する店舗の規模や業種、来店する顧客の傾向によって、適したタイプが大きく異なります。ここでは「クレジットカード専用端末」「オールインワン決済端末」「モバイル型/据え置き型」という三つの切り口で、それぞれの特徴と導入時のポイントを解説します。
クレジットカード専用端末
クレジットカード専用端末は、もっともシンプルで操作性が高いことから、個人事業主や飲食店、タクシー業界などで長く利用されてきた形式です。磁気ストライプ・IC・タッチ決済(NFC)など、カードの種類に応じた読み取り方式に対応しており、端末単体での運用が可能です。
たとえば、月に数十万円程度の売上規模で、主な支払いがクレジットカードに限られている場合、このタイプで十分対応できます。ただし、QRコード決済や電子マネーには非対応のものが多いため、顧客から「使えないの?」と言われるケースもあります。今後の決済ニーズの変化を見据えて、拡張性のあるモデルを選ぶことも選択肢のひとつです。
オールインワン決済端末(QR・電子マネー対応)
オールインワン型は、クレジットカード・電子マネー・QRコードなど、複数の決済手段に対応できる多機能タイプです。SquareターミナルやAirペイターミナル、stera terminalなどが代表的で、1台で幅広い支払い方法に対応できるため、近年もっとも需要が高まっています。
こうした端末は、POSレジや売上管理との連携機能も充実しており、バックオフィス業務の効率化にも寄与します。
初期費用がかかるモデルもありますが、「実質0円キャンペーン」などのサポートがあるサービスも多いため、コスト面も確認しながら選ぶと安心です。
モバイル型/据え置き型の使い分け
モバイル型と据え置き型の違いは、使用シーンに大きく影響します。モバイル型は、充電式でどこでも使える手軽さが魅力で、移動販売やイベント出店、テーブル会計が多い飲食店で活躍します。一方、据え置き型は常設前提で、電源やネット環境を安定的に確保できる店舗向けです。
どちらを選ぶかは、「お客さまが支払う場所」と「スタッフの導線」によって決まります。導入前に、実際の接客フローをシミュレーションしてみると、失敗のない選定につながります。
キャッシュレス決済端末を選ぶポイント


キャッシュレス決済端末は、見た目やブランドだけで選んでしまうと、思わぬコストや使い勝手の悪さに悩まされることがあります。とくに小規模店舗では、ランニングコストや入金のタイミングが経営に直結します。ここでは、選ぶ際に必ずチェックしたい4つのポイントを、具体例とともに解説します。
手数料の比較(ブランド別・決済方法別)
もっとも気になるのが「手数料」でしょう。たとえば、VisaやMastercardのクレジットカード決済では、1.98%〜3.25%程度が相場です。一方、交通系電子マネーやQRコード決済は、導入サービスによって手数料率が大きく変わります。
決済ブランド | 一般的な手数料(参考値) |
---|---|
Visa/Mastercard | 1.98%〜3.25% |
JCB/Amex/Diners | 3.0%〜3.75% |
PayPay/楽天ペイ | 1.6%〜3.0% |
Suica/PASMOなど | 約3.25%前後 |
(※各ブランドや決済代行業者が提示する「正式な料率」をご確認ください。)
たとえばAirペイでは、複数の決済手段を一括導入でき、主要クレジットブランドは一律1.98%で対応可能です。こうした「一律手数料」のサービスは、料金管理のしやすさからも人気があります。
初期費用・月額コスト
導入時に発生する費用も、選定時の重要な判断材料です。機器の購入費用だけでなく、月額利用料・通信料がかかるサービスもあります。
たとえば、機能が多いstera terminalなどでは、月額1,000円前後の利用料が発生することもあるため、長期的な視点で総費用を計算することが重要です。
入金スピードとサポート体制
売上がいつ現金化されるかも、資金繰りに関わる大切な要素です。たとえば楽天ペイは最短翌営業日に入金され、振込手数料も無料です。一方、月2回や月1回といったスケジュールのサービスも存在します。
また、トラブル時の問い合わせ対応や、設置・操作に関するサポート体制も見逃せません。
無料導入できるサービスはある?
最近では、端末代や初期手数料が無料になる「導入支援キャンペーン」が増えています。たとえばAirペイや楽天ペイでは、開業から間もない事業者や条件を満たした個人事業主に向けたキャンペーンが頻繁に行われています。



ただし、「無料」という言葉には注意が必要です。通信端末のレンタル契約や解約時のペナルティが発生するケースもあるため、契約内容をよく確認してから申し込みましょう。
費用・スピード・サポートの3点は、見逃しがちな落とし穴でもあります。自分の業種や売上規模に合わせて、必要な項目に優先順位をつけることが、後悔しない端末選びのコツです。
導入目的・業種別おすすめ端末ランキング


キャッシュレス決済端末を選ぶ際、業種や店舗規模によって「本当に合う1台」は異なります。たとえば、同じ飲食業でも、カフェと多店舗展開のレストランでは必要な機能や導入コストのバランスが変わってきます。ここでは4つの代表的な業種・事業形態別に、それぞれ相性の良い端末を具体的にご紹介します。
小規模店舗(カフェ・美容室など)
客単価が1,000円〜5,000円程度で、1〜2名体制の小さな店舗には、初期費用が抑えられ、操作がシンプルな端末が向いています。
Square リーダー/Airペイ
- Square リーダーは本体が小型で、スマホとBluetooth接続するだけで利用可能
- Airペイは初期費用無料キャンペーンが多く、クレカ・電子マネー・QRコード対応



クレジットカードに対応すると、お客さまが金額をあまり気にせず購入する傾向があり、結果的に客単価が上がるケースがよくあります。少額決済だけでなく、ついで買いが増えることもあるので、導入するだけで売上アップにつながることも多いですよ。
中規模店(複数スタッフ・在庫管理あり)
アパレルや雑貨店のように、スタッフが複数いてPOSとの連携が重要な業態では、業務管理までサポートできる端末が適しています。
stera terminal/Uレジ PAY
- stera terminalはオールインワン型で、在庫・顧客情報・売上分析機能が充実
- Uレジ PAYはタブレット型で、レジと一体運用しやすく、月額費も明確
スタッフ全員で操作しやすく、バックヤードの業務まで効率化できる点が魅力です。
移動販売・マルシェ出店
出店場所が頻繁に変わる移動販売や、電源が取りづらいマルシェでは、持ち運びやすく通信が安定しているモバイル端末が欠かせません。
Square ターミナル/楽天ペイ ターミナル
- Square ターミナルはバッテリー内蔵で、Wi-Fiさえあればすぐに使用可能
- 楽天ペイ ターミナルは決済スピードが速く、楽天ユーザーの集客にも効果的
とあるフードトラック経営者は、Square ターミナルを導入したことで「現金ゼロ運営」が実現し、回転率が大きく向上したそうです。
医療・教育・士業などの業種
これらの業種では、顧客が企業や個人事業主であることも多く、レシート発行や法人カード対応、月締めの集計が重視されます。
stera terminal/JMSの据え置き型端末
- stera terminalは端末上で電子レシートやメール送信も可能
- JMSの据え置き型は病院や歯科医院などで広く使われており、安定稼働が強み



キャッシュレス端末を導入すると、利用者の利便性が高まるだけでなく、経理処理のミスも減らせるというメリットがあります。売上や入金の流れが可視化されることで、事務作業もずっとスムーズになるんです。
どの端末が自店に最適かを見極めるには、「導入後の使い方」を具体的に想像することが重要です。業種別分類を参考に、まずは自分のお店の接客スタイルや課題に合うタイプを探ってみてください。
最新オールインワン決済端末5選の徹底比較


キャッシュレス対応の幅が広がる中、1台で複数の決済手段に対応できる「オールインワン端末」は、業種を問わず注目されています。ただし、機能や費用、サポート体制には違いがあり、比較せずに導入してしまうと「思ったより使いづらい」と後悔することも。ここでは、最新の代表的な5機種について、利用者の実体験や数値に基づいて丁寧に比較していきます。
【Airペイ】コスパ重視のオールラウンダー
Airペイは、店舗経営に特化したリクルートが提供する決済サービスです。初期費用や月額固定費がかからず、対応ブランド数も豊富。特に「使いやすさ」と「サポート体制」のバランスが高評価で、飲食・美容業界を中心に人気があります。導入後のサポートがきめ細かく、スタッフがすぐ慣れたとの声も。
【stera terminal】多機能で業務を一括管理
stera terminalは三井住友カードが展開する高機能型端末で、POS機能や在庫管理、顧客管理まで一体化されています。レジ業務を丸ごと最適化したい店舗には最適で、都市部のアパレルショップやレストランチェーンでの導入が進んでいます。月額1,000円程度の固定費がかかる点はあるものの、それ以上の業務効率化が見込めます。
【楽天ペイターミナル】楽天経済圏に強い
楽天ペイの端末は、クレジット・QR・電子マネーに対応し、楽天ポイントとも連携できるのが大きな特徴。楽天市場や楽天銀行を利用する事業者には特に親和性が高く、リピーターが多い小売業や観光業で導入が進んでいます。最短翌営業日入金というスピード感も魅力です。
【Squareターミナル】スタイリッシュかつシンプル
Squareターミナルは、デザイン性と機能性を両立した端末で、レシートプリンター一体型という点が特長。Wi-Fi環境があればどこでも使え、イベントやテイクアウト販売に向いています。バッテリー駆動とタッチ操作の簡単さにより、1人運営でもスムーズな会計が可能です。
【Uレジ PAY】レジと一体化した高度な運用が可能
Uレジ PAYは、USENが提供するPOS連携型の端末で、飲食店や美容室など、業務に合わせて細かくカスタマイズできるのが特長です。スタッフの回転が早い業態でも教育コストを抑えやすく、導入企業からは「集計や予約との連携が便利」と評価されています。
端末名 | 初期費用 | 月額費用 | 対応決済数 | 特長 |
---|---|---|---|---|
Airペイ | 実質0円 | 0円 | 35種類以上 | 導入のしやすさ・サポート充実 |
stera terminal | 約0~1万円 | 約1,000円 | 約40種類 | POS連携・多機能対応 |
楽天ペイターミナル | 実質0円 | 0円 | 約30種類 | 楽天ポイントと連動 |
Squareターミナル | 約29,800円 | 0円 | 約25種類 | モバイル対応・一体型設計 |
Uレジ PAY | プランにより異なる | 要問合せ | 約20種類 | レジとの高度な統合 |
1台で何役もこなせるオールインワン端末は、単なる「決済手段」にとどまらず、業務効率や顧客体験を左右する存在になりつつあります。導入時は、自分の店舗の課題や使い方に合うかを中心に、機能や費用を比較して検討してみてください。
こんなときはどれを選べばいい?


キャッシュレス決済端末は、機能や料金だけでなく「今の自分の状況」に合ったものを選ぶことが重要です。ここではよくある3つのケースを想定し、それぞれに適した端末を具体的にご紹介します。初めて導入する方にもわかりやすく、現場での声を交えて解説します。
現金レジから切り替えたいとき
現金レジからキャッシュレス対応へ切り替える際は、「導入のしやすさ」と「基本機能の充実度」がカギになります。とくに、これまでレジしか使ってこなかった事業者にとっては、端末の操作性が重要です。
Airペイ
- 導入コストが実質0円(キャンペーン対象)
- クレカ、電子マネー、QRコード決済に一括対応
- iPadを使えばレジ機能と連携可能
たとえば、スタッフ不在のコインランドリーなどでは、Airペイの導入でスマートな支払いが可能になり、現金管理の負担が激減します。すでにiPadを使っているお店なら、追加費用なしで導入できるケースもあります。
初めて導入するならどれが安心?
「決済端末なんて使ったことがない」「パソコンもあまり得意じゃない」という方には、設定・操作・サポートすべてが簡単で安心な端末が適しています。
Squareターミナル
- 電源を入れてすぐ使えるシンプル設計
- レシートプリンター一体型で持ち運びも可能
- サポートチャットが迅速で初心者にやさしい
「スマホアプリの延長のように直感的に使える」と人気のSquareターミナル。電源さえあればすぐに稼働できる点が安心材料です。
レシート印刷・在庫連携をしたいとき
売上管理や在庫管理を日々の業務に組み込みたいなら、POSとの連携機能が充実している端末が最適です。レシート印刷の有無も、顧客対応に影響するポイントになります。
stera terminal/Uレジ PAY
- stera terminalはPOS機能・在庫連携が端末1台で完結
- Uレジ PAYは業種別カスタマイズに強く、飲食・美容業に最適
Uレジ PAYは、在庫管理アプリと連携することで、商品の販売履歴や残数をひと目で把握できます。さらに予約システムとの統合も可能なので、受付から在庫確認、会計までの流れがスムーズに。とくにヘアサロンのような少人数運営の現場では、業務全体の効率が大きくアップすると好評です。
すべての機能を詰め込んだ高機能端末よりも、自店の規模や目的にフィットする一台を選ぶことが、結果的に満足度の高い選定につながります。



「どれを選べばいいか分からない」と感じるのは当然のことですが、大切なのは“今の悩みを解決できるかどうか”です。
今後のトレンドと選び方の変化


キャッシュレス決済は単なる「支払い手段」から、店舗の価値向上や業務改善を支える存在へと進化しています。2025年以降は、行政支援や技術革新によって、端末選びの基準にも新しい視点が求められます。ここでは、最新の動向と選び方の変化について具体的に解説します。
キャッシュレス還元や行政支援の影響
ここ数年、国や自治体によるキャッシュレス促進策が中小事業者の背中を押しています。たとえば、「中小店舗等キャッシュレス導入支援事業」では、端末の導入費用や手数料の一部が補助され、負担が大きく軽減される制度が全国で実施されました。
とくに効果が大きかったのは、2020年のポイント還元事業。あのとき、AirペイやSquareを導入した飲食店の多くは「現金よりも使いやすい」との声に背中を押され、リピート率や単価が向上したと報告されています。補助金や支援制度は期間限定であることが多いため、タイミングを逃さず情報をチェックしておくことが重要です。
選び方の変化と今後の視点
これまでの端末選びは「手数料の安さ」や「使える決済ブランドの数」が中心でしたが、これからはそれに加えて以下のような視点も求められます。
- 業務の一体化:売上管理・在庫・予約・顧客管理まで一括できる端末に人気が集まる
- 持続可能性(サステナビリティ):紙のレシートを出さずにメール送信する機能が評価される
- 接客体験の強化:非接触でスピーディーな決済によるストレス軽減が求められる
キャッシュレス端末は「どれが安いか」ではなく、「どれがビジネスの武器になるか」で選ぶ時代です。還元制度や行政支援を上手に活用しつつ、あなた験に合った端末を戦略的に導入しましょう。
キャッシュレス決済は、もはや特別な選択肢ではなく、日々の接客や売上管理を支える“当たり前”のしくみになりつつあります。だからこそ、導入する端末は価格だけで選ぶのではなく、自分のお店のスタイルやお客さまのニーズに合っているかをじっくり見極めることが大切です。この記事をきっかけに、無理なく続けられるキャッシュレス環境を整えてみてください。選び方次第で、現場のストレスも売上も、大きく変わっていきます。
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