ECプラットフォームとは?費用・機能・拡張性から徹底比較

ECプラットフォームとは?費用・機能・拡張性から徹底比較

ECプラットフォームとは何かを正しく理解し、自社に合ったサービスを選ぶことは、ネットショップの成否を大きく左右します。本記事では、初心者にも分かりやすく、種類別の特徴や費用、比較ポイントを解説します。

目次

そもそもECプラットフォームとは?基本用語と役割

ネットでモノを買うことが当たり前になった今、ビジネスの場でも「ECプラットフォーム」という言葉を目にする機会が増えました。しかし、「それってつまり何?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。ここでは、ECに関する基本用語と、プラットフォームが果たす役割を解説します。

ECとは/ECサイトとの違い

「EC」とは、「Electronic Commerce(エレクトロニック・コマース)」の略で、日本語では「電子商取引」と呼ばれます。簡単に言えば、インターネットを通じて商品やサービスを売り買いすることです。
たとえば、Amazonや楽天市場での買い物もECに含まれます。そして、それを実現する「お店」のような存在が「ECサイト」です。つまり、「EC」は広い意味での“やりとり”全体を、「ECサイト」はそのための“場”を表すのです。

ECプラットフォームの意味とできること

では、「ECプラットフォーム」とは何を指すのでしょうか。これは、ECサイトを作るための仕組みやサービスのことを意味します。たとえば、BASEやShopify、MakeShopといったサービスが該当します。
これらのプラットフォームを使えば、特別な知識がなくても簡単にネットショップを立ち上げることができます。商品ページの作成、注文管理、決済システム、在庫管理、配送連携、さらにはマーケティング機能まで、多くの作業を一括で管理できる点が大きな魅力です。

よく使われる言い換え(ショッピングプラットフォーム・コマースプラットフォーム)

「ECプラットフォーム」という言葉の代わりに、「ショッピングプラットフォーム」や「コマースプラットフォーム」という言い方をされることもあります。意味はほぼ同じで、どれも「オンラインショップの仕組み」を指しています。
ただし、「コマースプラットフォーム」という言葉は、より広い意味で用いられることもあり、在庫・物流・会員管理などを含む統合型システムとして扱われる場合もあります。

ネット販売を始めたいと思ったとき、何から手を付ければよいのか迷う方も多いでしょう。まずは、この「ECプラットフォーム」という存在を理解することが第一歩です。

ECプラットフォームの主な種類と特徴を比較しよう

ECプラットフォームにはいくつかの種類があり、それぞれに特徴と適した使い方があります。自分のビジネス規模や目的に合ったものを選ばなければ、無駄なコストや手間がかかってしまうこともあります。ここでは主要な5タイプを紹介し、違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

【モール型】集客力に優れた大型商業施設のような存在

モール型は、楽天市場やAmazonのような「巨大なネット上の商業施設」に出店するイメージです。多くのユーザーがすでに訪れているため、出店初期からアクセスが集まりやすいのが特徴です。
たとえば、地方の農家がAmazonに出店したことで、全国の消費者に自家製野菜を届けられるようになった例もあります。

メリット

  • 集客力が非常に高い
  • システムが整っており、始めやすい

デメリット

  • 手数料が高め
  • デザインやブランディングの自由度が低い

【ASP型(SaaS型)】簡単・低コストで始められる初心者向け

BASEやSTORESなどに代表されるASP型は、登録するだけでネットショップがすぐに持てるサービスです。テンプレートも豊富で、専門知識がなくても始められる点が魅力です。副業や趣味の販売にも向いています。

メリット

  • 初期費用がほとんどかからない
  • 管理画面が直感的で使いやすい

デメリット

  • 機能制限があることも多い
  • 事業が成長すると物足りなく感じる可能性がある

【パッケージ型】柔軟性とカスタマイズ性を両立

MakeShopやEC-ORANGEなどに代表されるパッケージ型は、買い切りまたは月額課金で利用する仕組みです。自社の要望に合わせて構築できるため、中〜大規模の企業に適しています。

メリット

  • 自由度が高く、機能も豊富
  • 独自のブランドイメージを打ち出しやすい

デメリット

  • 初期費用が高め
  • 導入までに時間がかかる

【オープンソース型】自由自在な開発が可能

EC-CUBEやMagentoなどは、プログラムの設計が公開されている「オープンソース型」です。自社でエンジニアを抱えている場合に選ばれやすく、自由にカスタマイズできます。

メリット

  • 完全な自由設計が可能
  • 拡張性が高い

デメリット

  • 開発スキルが必要
  • セキュリティや保守管理の責任も発生

【フルスクラッチ型】すべてを自社仕様で構築

ゼロから独自に開発する「フルスクラッチ型」は、大手企業や特殊な要件を持つビジネスに適しています。

メリット

  • 完全に自由な設計が可能
  • 特殊な要望にも対応できる

デメリット

  • 費用も時間も非常にかかる
  • 専門人材が必須

まずは自社の目的を明確にし、どの型がもっとも適しているかを見極めることが重要です。

代表的なECプラットフォームの例と選ばれる理由

どのECプラットフォームを使えばよいか迷ったとき、実際に多くの企業や個人が選んでいるサービスを知ることは大きなヒントになります。ここでは国内外の代表的なプラットフォームを紹介し、それぞれが選ばれる理由を具体的に解説します。

国内の大手サービス

サービス名タイプ特徴向いている利用者層
楽天市場モール型圧倒的な集客力ブランド力がない個人や中小企業
BASEASP型登録無料・操作が簡単副業・ハンドメイド作家など
STORESASP型テンプレ豊富・定期販売に対応小規模なブランド運営者
MakeShopパッケージ型多機能・法人向けに強い中規模以上の法人
ShopifyASP型SNS連携・越境ECにも強い拡張性を重視する中小企業
MagentoOSS型高度なカスタマイズが可能大手・海外向け展開企業

楽天市場は、国内最大級のECモールとして圧倒的な集客力を誇ります。たとえば、開業初月から売上が伸びた地方の和菓子店のように、知名度のある場に出店することで、ブランド力がなくてもアクセスが集まりやすいというメリットがあります。ただし、出店料や販売手数料はやや高めです。

BASEは、無料で簡単にネットショップを開設できることから、個人クリエイターや副業層に支持されています。登録から最短5分でショップが公開できるシンプルさが魅力です。2024年時点で170万以上のショップが開設されており、その多くが小規模事業者です。

STORESは、BASEと似た立ち位置ですが、決済手数料や機能面でのバランスが良く、ファッション系や美容系のECで人気です。定期販売機能や予約販売など、ニーズに応じた機能が充実している点も特徴です。

MakeShopは、パッケージ型に近いASPとして、カスタマイズ性と安定性を両立させたサービスです。月額費用は発生しますが、売上規模が一定以上の中小企業には非常にコスパがよく、導入事例も多いです。商品点数が多い店舗や法人利用に向いています。

海外で人気のサービス(Shopify・Magento など)

Shopifyは、全世界で数百万店舗が利用するSaaS型のプラットフォームです。日本でも近年利用者が急増しており、SNS連携や越境EC対応のしやすさが支持される理由です。たとえば、Instagramショッピングとの連携で若年層向けアパレルを販売しているショップが、フォロワー経由で月商100万円を達成した例もあります。

Magentoは、オープンソース型で世界的にシェアの高いEC構築ツールです。大規模なショップやBtoB向けの複雑な要件にも対応できる柔軟性があり、自由度は非常に高いです。ただし、開発スキルや運用体制が求められるため、中堅以上の企業向きといえます。

それぞれのサービスには、ターゲットや機能、費用感に違いがあります。たとえば、副業でアクセサリーを販売したい人にとってはBASEが最適かもしれませんが、海外展開を視野に入れるならShopifyのほうが向いていることもあります。まずは自分のビジネス規模や展望に合わせて、候補を2〜3つに絞り、実際に無料トライアルや導入事例をチェックしてみるのがおすすめです。

目的別・事業規模別のおすすめプラットフォーム早見表

どのECプラットフォームを選ぶかは、ビジネスの目的や規模によって大きく変わります。副業として始めたい人と、月商1000万円を目指す企業では、必要な機能もサポート体制も異なります。ここでは、目的別・規模別におすすめのプラットフォームを分類し、費用・自由度・サポート・集客力の観点からわかりやすく整理しました。

個人/副業向け

副業でハンドメイド作品や古着を売る場合、「気軽に始められること」が重要です。初期費用をかけず、専門知識なしでも使えるサービスが適しています。

プラットフォーム費用自由度サポート集客力
BASE◎無料〜△制限あり○マニュアル中心△自身で集客が必要
STORES◎無料〜△テンプレ中心○チャットあり△外部連携が必要
まさる

BASEは、操作も直感的で、在庫が少ない商品でも気軽に販売できます。

小規模事業者向け

ある程度の売上が見込める法人や店舗経営者には、運営のしやすさと拡張性のバランスが求められます。デザインの自由度や決済機能の幅もポイントです。

プラットフォーム費用自由度サポート集客力
Shopify○月額3000円〜◎高い◎24時間対応○SNSや外部ツールとの相性◎
MakeShop○月額1万円前後○やや自由◎電話サポートあり△自力での集客が基本
まさる

Shopifyは、SNS連携や広告運用との相性が良く、商品登録から販促までの流れを一貫して管理できるため、マーケティングに不慣れな方でも扱いやすいです。

中~大規模企業向け

多店舗展開や独自機能が必要な企業では、柔軟なカスタマイズや堅牢なシステムが必須です。社内にIT人材がいる場合は、より自由度の高い選択肢も視野に入ります。

プラットフォーム費用自由度サポート集客力
Magento(OSS)△開発費高◎自由自在△自社で構築△自社マーケティング必須
EC-ORANGE△月額+開発費◎高機能◎導入サポート充実△法人向け中心

このように、プラットフォームは「どれが優れているか」ではなく「どれが自分に合っているか」がポイントになります。まずは自分の販売目的や事業規模を整理し、それに合うサービスを2~3絞って、無料トライアルや資料請求から始めてみることをおすすめします。

ECプラットフォームを選ぶときに見るべき5つのポイント

ECプラットフォーム選びで失敗しないためには、「何となく有名だから」「料金が安いから」だけで決めるのではなく、自社の目的や運営スタイルに合っているかを見極めることが重要です。ここでは、判断基準として特に注目すべき5つのポイントを紹介し、それぞれの見方と実例を交えてわかりやすく解説します。

機能〜必要なものが揃っているか

まず確認したいのが、基本機能と追加機能の充実度です。たとえば、商品登録数の上限、クーポン発行、レビュー機能、定期購入、会員ランクなどは、販売する商品ジャンルによって必要度が異なります。

使いやすさ〜誰でも直感的に操作できるか

日々の運用では「管理画面の使いやすさ」が生産性に直結します。特に小規模な事業者では、専門知識のないスタッフが扱うことも多いため、難しい操作が必要なツールはミスのもとになります。

カスタマイズ性〜どこまで自社の色を出せるか

テンプレートだけでは物足りない、ブランドの世界観を表現したいという場合は、デザインや構成の自由度も大切です。ShopifyやMakeShopでは、HTMLやCSSを使って細部までデザインが変更でき、独自性を高めたい企業に向いています。

拡張性〜将来の成長に対応できるか

事業の成長とともに「こんな機能が欲しい」と感じる場面は必ず出てきます。API連携やアプリマーケットの豊富さは、将来的な柔軟性に直結します。Shopifyは数千のアプリを簡単に追加でき、Instagram連携やレビュー強化もワンクリックです。
逆に拡張性が低いと、あとから別のプラットフォームへ移行せざるを得ず、二重のコストと手間がかかります。

ランニングコスト〜毎月の維持費に無理はないか

意外と見落とされがちなのが、初期費用だけでなく「月額費用+決済手数料+アプリ利用料」などをすべて含めた総コストです。売上が伸びるほど手数料がかさむタイプもあるため、事前のシミュレーションは必須です。
BASEは無料で始められますが、決済手数料は6.6%+40円と高め。一方で、MakeShopは月額費用がかかるものの、売上に応じた手数料は低く、結果的に利益率が上がるケースもあります。

どの項目も、「今の自分に合っているか」と同時に「今後どう成長したいか」を踏まえて選ぶことが重要です。迷ったときは、実際のユーザー事例や比較表を参考にしながら、無料体験や資料請求で使用感を確かめてみましょう。

導入までの流れと費用の目安

ECプラットフォームを導入する際は、「選んですぐ始める」だけでは理想的な結果を得ることはできません。目的に合ったサービスを見極め、必要な準備を経て、実際に運用を軌道に乗せるまでには段階的なステップが存在します。また、初期費用だけでなく、月額料金や手数料など、トータルコストの把握も重要です。ここでは、導入の流れと費用の目安を具体的に解説します。

導入ステップ(比較→選定→構築→運用)

  1. 比較・情報収集
     まずは複数のプラットフォームを比較し、自社に必要な機能や対応範囲を確認します。無料トライアルや資料請求を活用すると、導入後のギャップを減らせます。
     実際、飲食店経営者のAさんは、BASEとShopifyの両方を試してから決定したことで、SNS販売との相性が良い方を選ぶことができました。
  2. 選定・契約
     機能と価格のバランス、サポート体制などを比較し、1つに絞って契約を行います。法人契約の場合は、見積書や稟議書が必要になるケースもあります。
  3. 構築・設定
     ショップの構築では、商品登録、送料設定、決済手段の選択、デザインのカスタマイズなどを行います。ASP型なら数時間〜1日程度で公開できることもありますが、パッケージ型やオープンソース型は1か月以上かかることも珍しくありません。
  4. 公開・運用開始
     サイト公開後は、集客・受注・在庫管理・配送・アフターフォローなど、日々の業務を運用していくことになります。SNSや広告との連携も早期から検討しておきましょう。

初期費用・月額費用・手数料などの具体例

費用面では、以下のような項目に注目しておくと安心です。

項目BASEShopifyMakeShopMagento(OSS)
初期費用0円0円約1〜2万円20万円以上
月額費用0円約3,000円〜約1万円前後開発・保守費用別途
販売手数料6.6%+40円3.4%〜無料(決済手数料別)決済会社と契約
その他費用アプリ利用料アプリ利用料独自ドメイン料開発会社との契約費用など
まさる

副業として気軽に始めたいなら、初期費用ゼロで使えるBASEが安心です。すでに店舗があり事業拡大を見据えるなら、拡張性やサポートが充実したMakeShopやShopifyを選ぶと将来の運用もスムーズです。

ECサイトの構築は「初めての一歩」を踏み出す勇気と、適切な準備の積み重ねです。導入前にしっかりと費用と手順を把握しておけば、想定外のトラブルやコスト増を避けられます。迷っている方は、まず無料プランで試してみるところから始めてみてください。

よくある質問

ECプラットフォームとは何ですか?

ECプラットフォームとは、ネットショップを作るための「お店の土台」のような仕組みです。たとえば、商品を並べる棚(ページ)、お金を受け取るレジ(決済機能)、在庫を管理する仕組みなどが最初から揃っていて、専門知識がなくてもネットで物を売れるようになります。BASEやShopifyが有名です。

ECサイトって何の略?

ECサイトの「EC」とは「Electronic Commerce(エレクトロニック・コマース)」の略で、電子商取引という意味です。つまり、インターネット上で商品やサービスを売り買いする場所が「ECサイト」です。Amazonや楽天、ZOZOTOWNなど、日常的に私たちが使っているネットショップはすべてECサイトの一種です。

AmazonはECサイトですか?

はい、AmazonはECサイトの代表格です。世界中の人が使っている大規模なネットショップで、書籍、食品、家電、日用品まで幅広い商品を取り扱っています。また、Amazonは「モール型ECサイト」とも呼ばれ、たくさんの企業や個人が自分のショップを出店できる仕組みになっています。

ECモールとECサイトの違いは何ですか?

ECモールは「たくさんのお店が集まったネット上の商業施設」、ECサイトは「一つのお店」に近いイメージです。たとえば、楽天市場やAmazonはECモールで、いろいろな会社の商品が並んでいます。一方、無印良品のように単独ブランドだけで運営している公式ショップは、ECサイトと呼ばれます。

有名なECサイトは?

日本で有名なECサイトには、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWN、ユニクロオンラインストアなどがあります。これらはそれぞれ特徴があり、たとえばAmazonは配送の速さ、ZOZOTOWNはファッションの品ぞろえが強みです。最近では、Shopifyで作られたブランド独自のECサイトも増えています。

メルカリはECサイトですか?

メルカリは、広い意味ではECサイトですが、正確には「フリマアプリ」と呼ばれるサービスです。個人どうしが直接やりとりして売買する「CtoC型」の仕組みで、使わなくなった物を気軽に売れるのが特徴です。Amazonや楽天のような「企業が運営するネットショップ」とは少し形が違います。

ECプラットフォームを正しく選べば、販売効率や集客力は大きく変わります。まずは事業の目的や規模に合った候補を絞り、試しながら導入を進めてみてください。



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この記事を書いた人

年齢:35歳(業界14年)
Webデザイナー兼マーケティングコンサルタント
20代前半から独学でECサイトを立ち上げ、自分でデザイン・運営・集客を担当。初めてのサイト運営では多くの苦労があり、失敗を重ねたが、その経験を活かして現在は成功している。その後、ECサイトの運営ノウハウを活かして他の企業のサイト立ち上げをサポートするコンサルタントとしても活躍中。
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