小規模・個人事業主が無料かつ低コストで始められるECサイト構築の手法を、費用相場・機能比較・集客方法まで専門家が詳しく解説。今すぐ実践できる内容が満載です。
小規模事業者が無料でECサイトを始めるために

小規模事業者や個人事業主にとって、売上拡大の鍵を握るのが「どれだけ効率よく顧客と接点を持てるか」です。ECサイトはその手段として、コストを抑えながら販路を広げられる有力な選択肢です。
特に無料で始められるサービスの登場により、資金に余裕のない立ち上げ期でも、自社商品を広く届けることが現実的になってきました。
小規模ビジネスとECの相性
小規模ビジネスにとって、ECサイトは大規模店舗と対等に勝負できる武器になります。物理的な店舗と異なり、家賃や人件費といった固定費がかからず、商品の特長や魅力を丁寧に伝えることで購入につなげることができます。
たとえば、個人の作家が、BASEを使ってネットショップを開設したところ、SNSと連携して販路を広げ、月商50万円を安定して達成するようになりました。これは地域の限られた店舗販売だけでは難しい成果です。
さらに、ECは時間的な自由も得られる仕組みです。実店舗では営業時間に縛られますが、ネットショップは24時間営業が可能で、全国どこからでも注文が入ります。これは、副業で始めたい人や、子育て中の事業者にも大きな利点です。
無料で始められるメリットと現実的な期待値
無料のECサイト構築サービスが提供するのは「最小限の機能」と「スタートのきっかけ」です。費用がかからないため、商品や販売方法のテストにも最適です。たとえば「まずは10商品だけを並べて、反応を見てみる」という使い方がしやすいのも無料プランの魅力です。
ただし、無料プランには当然制限もあります。商品登録数が少なかったり、独自ドメインが使えなかったりするケースも多いため、将来的に有料プランへ移行する視野も必要です。「いきなり本格的なショップ運営を目指す」のではなく、「まずは始めて、育てながら整える」ことが成功のコツと言えます。
個人事業主に適した構築スタイルとは
個人事業主がECサイトを構築する際には、「シンプル・低コスト・直感的」がキーワードです。たとえば、BASEやSTORESのようなテンプレート形式のサービスであれば、デザインやカート機能、決済までが一体化しているため、専門知識がなくても短時間で公開可能です。
また、更新のしやすさも重要です。日々の業務の中で、写真や商品説明を簡単に変えられる操作性は、長く使う上でストレスを減らします。そして、運用しながらわかった課題に応じて、「機能を拡張する」か「他サービスへ移行する」かを選べばよいのです。
まずは小さく始めて、実際の運用を通じて自分に合ったスタイルを見つける。それが、無理なく続くEC運営の第一歩となります。どれだけ立派な仕組みを用意するかよりも、「今すぐ行動に移すこと」が結果を生む一番の近道です。
初期費用・運用費用ゼロでも使える主要サービス比較

個人事業主や小規模ビジネスにとって、ECサイトを立ち上げる際の「初期費用」と「月額コスト」は大きなハードルです。近年では、初期投資ゼロ・月額無料でも始められるプラットフォームが充実しており、誰でも手軽にネットショップを開設できるようになっています。
特に人気が高く、導入実績の多い5つの無料ECサイト構築サービスを紹介し、それぞれの強みと活用ポイントを解説します。
BASE:費用を抑えて最短開業
BASEは「ネットでお店を開くならまずこれ」と言われるほど、初心者にやさしい構成で人気のサービスです。初期費用・月額費用は完全無料。売上が発生したときのみ決済手数料(3.6%+40円)とサービス利用料(3%)がかかります。
たとえば、雑貨販売を副業で始めた女性が、BASEを使って週末だけの運営でも安定収益を得ている事例があります。テンプレートも豊富で、専門知識がなくてもプロっぽいショップが作れるのが魅力です。
STORES:デザイン自由度と手数料のバランス
STORESも無料プランがあり、手軽にネットショップを始めることができます。BASEに比べてデザインカスタマイズの自由度が高く、ブランディングを意識したい人に向いています。
決済手数料は5%とやや高めですが、月額有料プランに移行すると手数料が3.6%に下がり、予約販売や会員制機能などの拡張も可能になります。無料プランからスタートし、売上が伸びたタイミングで切り替えるのが一般的です。
メルカリShops:集客力の強み
メルカリShopsは、フリマアプリ「メルカリ」の中に自分のショップを持てるサービスです。既存のユーザー数が多いため、開設直後からアクセスが見込めるのが最大の特徴です。
たとえば、農家が余った野菜を販売したところ、SNSよりも早く購入につながったという声もあります。販売手数料(10%)や振込手数料(200円)には注意が必要ですが、「集客に悩みたくない」人にはおすすめです。月額費用や年会費は無料です。
Cafe24:多機能×低コストの海外向け強化型
Cafe24は韓国発のプラットフォームで、日本語対応も進んでいます。特徴は、無料で使えるにもかかわらず、海外配送や多通貨対応といった機能が充実していることです。
越境ECを視野に入れているなら、最初からCafe24で準備を進めるのも戦略のひとつです。グローバル市場で勝負したい個人事業主にとっては、コストをかけずにスモールスタートできる貴重な選択肢となるでしょう。
サービス名 | 初期費用 / 月額費用 | 決済手数料(無料プラン) | 特徴 | 向いている人 |
---|---|---|---|---|
BASE | 0円 / 0円 | 3.6% + 40円 + サービス料3% | 操作が簡単、テンプレ豊富 | 初心者・副業 |
STORES | 0円 / 0円 (有料あり) | 5% (有料で3.6%) | デザイン自由度が高い | ブランディング重視 |
メルカリShops | 0円 / 0円 | 一律10% | 集客力が高い(メルカリ連携) | 認知度アップを狙いたい人 |
Cafe24 | 0円 / 0円 | 0円 | 越境EC、海外販売対応 | 海外向けにも展開したい人 |
それぞれのサービスには特徴があるため、自分の目的や商品ジャンルに合ったものを選ぶことが大切です。最初は無料プランから始めて、成長に応じて有料プランに切り替える柔軟さが、成功への近道になります。
ECサイト構築費用の相場感と「無料」の内訳

「無料でECサイトを作れる」と聞くと、すべての機能がタダで使えるような印象を受けがちですが、実際には見えにくいコストが存在します。特に、ビジネスとして継続的に運営するなら、費用の内訳や将来的なコストの増減も把握しておくことが重要です。この章では、無料サービスの内実と、見落としやすいランニングコストの正体について解説します。
構築費用の基本内訳(ドメイン・SSL・決済)
通常のECサイトをゼロから構築するとき、主に以下のようなコストがかかります。
項目 | 一般的な費用相場 | 無料ECサービスでの提供状況 |
---|---|---|
独自ドメイン | 年1,000〜3,000円 | 無料プランでは基本的に使えない(サブドメイン) |
SSL証明書 | 年1,000〜5,000円 | 標準で無料付帯 |
決済機能 | 初期費用0〜5万円 | 決済システム込みで提供 |
多くの無料サービスでは、SSLや決済は初期搭載されています。ただし、ブランド力を意識するなら独自ドメインの取得は必須です。サブドメインでは、信頼性や覚えやすさで不利になるケースも少なくありません。
月額費用・手数料をどう捉えるべきか
無料プランの魅力は「月額固定費ゼロ」ですが、その代わりに取引ごとに手数料がかかる仕組みです。
たとえばBASEでは、決済手数料3.6%+40円に加えて、サービス利用料3%が発生します。
1万円の売上があれば、実際の手取りは約9,240円程度です。
ソース:BASE公式サイト – 利用料金
一方、STORESでは月額利用料1,980円の有料プランに切り替えると、決済手数料が3.6%に下がります。売上が月5万円を超えるなら、有料プランの方が手元に残る金額は増える可能性があります。
収益モデルに応じた「損益分岐点」の計算が鍵になります。
ソース:STORES公式サイト – 料金プラン
サービス名 | 手数料合計(無料プラン) | 月額費用 | 想定コスト(月商5万円) |
---|---|---|---|
BASE | 3.6%+40円+3% | 0円 | 3,340円 |
STORES (フリープラン) | 5.5%~ | 0円 | 2,750円~ |
STORES (ベーシックプラン) | 3.6% | (年払い)2,980円 (月払い)3,480円 | (年払い)3,087円 (月払い)3,605円 |
長期的なコストを見据えた比較と考え方
短期的には無料でスタートできても、ショップが成長すればするほど「より多機能な環境」や「広告・分析機能」などが必要になります。そのタイミングで課金が発生するのが一般的です。
たとえば、商品数が増えたことでカテゴリ分けが必要になったり、顧客管理の強化を考えたときに、有料プランへの移行が現実的になります。また、SNS広告との連携やメルマガ配信など、マーケティング施策を広げたい場合にも、無料プランでは対応できない場面が増えてきます。
重要なのは、「無料でどこまでできるか」ではなく、「どの段階で費用をかけるべきか」を見極めることです。将来の成長を想定して、今のうちから段階的に計画を立てておけば、無駄なく効率的に運営を進めることができます。

無料プランはスタート地点として非常に有効ですが、運営を軌道に乗せるためには「必要な投資をどのタイミングで行うか」が大きな差を生みます。
小規模ECサイト構築の3段階


無料でスタートできるECサービスが増えてきたとはいえ、なんとなく始めてしまうと、運用途中で手が止まってしまうケースも少なくありません。だからこそ「なぜやるのか」「何を売るのか」「誰に届けたいのか」という最初の設計がとても重要です。
スムーズに小規模ECサイトを構築するための基本的な流れを3つの段階で整理します。
目的設定とサービス選定
まず、最初に明確にすべきは「何のためにショップを作るのか」です。たとえば、副業で手作りアクセサリーを売りたいのか、地域特産品を広めたいのかによって、使うべきサービスは大きく変わります。
目的が明確になると、次に「売りたい商品」と「届けたい相手」が見えてきます。これをもとに、サービス選定に入ります。以下は一例です。
- 初心者向けで簡単に開設:BASE
- デザイン性重視:STORES
- 集客力重視:メルカリShops
- 海外展開を視野に:Cafe24



目的に合わないサービスを選んでしまうと、後から大きな手戻りが発生するため、時間をかけて比較検討することが重要です。
商品登録・ページデザインのコツ
商品ページは、実店舗でいう「売り場」にあたる場所です。まずは写真に力を入れましょう。
自然光で撮影された、生活に溶け込むような一枚が売上を左右することもあります。
説明文は、「誰のどんな悩みを解決できるか」という視点で書くのがポイントです。たとえば、「乾燥肌に悩むあなたへ」といったように、ターゲットを明確にしたコピーが刺さりやすくなります。
ページデザインもテンプレートを使いながら整えることで、見た目の統一感が生まれ、信頼感がアップします。BASEやSTORESには無料テンプレートが豊富に用意されており、画像を差し替えるだけでも見栄えのよいサイトが完成します。
SNS・無料集客との組み合わせ術
広告費をかけずに集客するなら、SNSの活用は避けて通れません。
Instagramで商品のある暮らしを発信したり、X(旧Twitter)で開店の告知をしたりと、無料ながら大きな効果を生む手法がたくさんあります。
実際に、フォロワー数500人ほどのアカウントでも、共感性の高い投稿から売上につながるケースはよく見られます。ポイントは「売り込みすぎない」こと。ストーリー性のある投稿を心がけることで、ファンがじわじわ増えていきます。



また、BASEやSTORESにはクーポン機能やレビュー投稿機能があり、購入後の顧客とのつながりも自然に生まれます。SNSとの連動を考えた商品ページ設計も重要です。
よくある失敗と無料サービス活用の注意点


無料のECサイト構築サービスは手軽に始められる反面、導入後に「思っていたのと違う」と感じる場面も少なくありません。とくに小規模事業者が限られたリソースで運用する場合、初期判断のミスが後々の足かせになりやすいため、注意が必要です。よくある失敗例とその予防策を具体的に紹介します。
機能不足に気づかずスタートしてしまう
無料プランは確かに便利ですが、使える機能に制限があるのが前提です。たとえば、STORESの無料プランでは定期購入や予約販売が使えず、BASEでは会員制サイトの構築ができません。
販売方法が広がってきた段階で「やりたいことができない」と気づくケースが多いです。
実際に、ハンドメイド作家がギフト対応機能を後から追加しようとした際、無料プランでは非対応だったため、別サービスへの移行を余儀なくされた事例もあります。最初から「自分の事業に必要な機能は何か」を洗い出しておくことが大切です。
想定以上の手数料負担
「無料」で使える代わりに、販売手数料や決済手数料が高めに設定されているサービスもあります。BASEの場合、1万円の売上に対して最大で約760円が引かれます。つまり、月商が上がるほど「取られる額」も増えていくということです。
一方STORESの有料サービスなどは、月額費用が発生する代わりに、手数料が低く抑えられている場合があります。毎月の売上見込みを立てたうえで、「無料が本当に得なのか?」を冷静に試算する視点が必要です。
無料プランの途中解約や移行トラブル
「もっと機能が欲しい」「別サービスに乗り換えたい」となったとき、データの移行や契約変更でつまずくケースもあります。特に、無料プランではCSV出力が制限されている場合や、独自ドメインが引き継げない仕様になっていることもあります。
たとえば、実際にBASEから他サービスへ移行を試みた事業者が、画像やレビューを一括で引き出せず、手作業で再登録を行う羽目になったという例もあります。長期的にビジネスを続ける予定であれば、「移行のしやすさ」も視野に入れてサービスを選ぶべきです。



「無料」は魅力的な選択肢ですが、その先に待っている運用フェーズまで見据えた準備が重要です。自分にとって必要な機能とコストのバランスを冷静に見極めたうえで、サービスを選びましょう。
よくある質問


- 無料で作れるECサイトはありますか?
-
はい、BASEやSTORES、メルカリShopsなどは、初期費用・月額費用が無料で使える代表的なECサイト構築サービスです。これらは売上が発生した際にのみ手数料がかかるため、リスクを抑えてネットショップを始めたい小規模事業者や個人に人気があります。
- ECサイトを構築するにはいくらかかりますか?
-
無料サービスを使えば初期費用はゼロですが、独自ドメインや有料テンプレートを使うと年間1万〜3万円ほどかかることもあります。有料でフル機能を使う場合、月額3,000円〜1万円程度が一般的な費用感です。
- ECサイトをフルスクラッチで作るといくらくらいかかりますか?
-
フルスクラッチでECサイトを開発する場合、最低でも100万円以上、機能を充実させると300万円以上かかることも珍しくありません。セキュリティやカート機能、決済システムなどをすべてオーダーメイドで構築する必要があるためです。
- 自社ECサイトを立ち上げるのにかかる費用は?
-
BASEやSTORESなどを使えば無料で立ち上げることも可能ですが、独自ドメインやロゴ制作、商品撮影にこだわると、初期費用として5万〜20万円前後かかるケースもあります。運用費用も含めて計画的に予算を立てるのが重要です。
- ECサイトの制作費はいくらですか?
-
テンプレートベースの簡易構築なら5万〜20万円程度、デザインや機能をカスタマイズする場合は30万〜100万円以上になることもあります。要件の複雑さや依頼先(フリーランス、制作会社)によって価格は大きく異なります。
- 悪質なECサイトとは何ですか?
-
悪質なECサイトとは、商品が届かない、偽物を販売する、返品に応じないなどのトラブルがあるサイトを指します。連絡先が不明瞭だったり、異常に安い価格設定、決済方法が銀行振込のみの場合は特に注意が必要です。
ECサイトは今や小規模事業にも欠かせない販路です。この記事を参考に、自社に合った無料サービスを選び、無理なく効果的にネット販売を始めてください。
コメント